インドの遺跡へ行くぞ!
バックパッカーの原点とも言えるのが、インド。そのインドを含む南アジアは、仏教生誕の地であり、いまでも多数の仏教遺跡が残されています。 もちろん、それだけではありません。何しろ4000年の歴史を誇るインド亜大陸ですから、みどころは豊富。バックパッキングをしながら、のんびり安く旅もできます。
これまで、このエリアは紹介していませんでしたが、投稿をいただきましたので、南アジア編を開きます。めでたい!
1 石窟寺院エローラとアジャンター ★★★★
インド人の底力?
アウランガーバードから、バスでまず、エローラに行った。 エローラとアジャンターの石窟寺院は、 いろいろな面で日本人の想像をはるかに超える。
ガイドブックを読んでは行ったが、想像していた以上に巨大なものだった。 特に、カイラーサナータ寺院は、山の上の崖から眺めたが、思いっきりうなった。
岩山から、巨大な寺院の彫刻を掘り出した感じだ。 完成までに要した時間はなんと1世紀以上。 当時のインド人の平均寿命は30歳前後とすれば、 数世代にわたっての大工事だ。
毎日、毎日朝から夕方まで、ノミとカナヅチをもって、 100年以上彫り続けるのだ。
とにかく、すごかった。インド人だからできることだと感じた。 そして、インド人のパワーと粘り強さは、 底知れないものがあることを思い知った。
仏教衰退期に作られた、第1〜12窟が、仏教窟群 特に第10石窟の内部のブッダ像がよかった。
第13〜29窟が、カイラーサナート寺院を含めたヒンズー教窟群 シヴァ神をはじめ、多くのヒンズー教の神々が祀られていた。
第30〜34窟が、ジャイナ教窟群となっている。 年代の新しい時代に作られたせいもあって、 ジャイナ教特有の繊細な彫刻は、比較的保存状態もよかった。
アウランガーバードの人たちはとても気さくで、 食事をしにいくと、気軽に声をかけてくれる人が多かった。 こちらもけっこうリラックスして話をすることができた。
みんなそれぞれに自分の生き方をもち、本当に堂々としている。 現代の日本人が失ってしまったものが、インドには確かにあることを感じた。
それは、生きる力だ。
アウランガーバードに戻って、アジャンターへ行く。 朝が早く、バスが分岐点までしか行かないので、そこから4キロほど歩いた。 途中、管理事務所の職員の人だろうか自転車の後ろに乗せてくれた。
馬蹄形をしたワーグラー渓谷沿いに並ぶアジャンター石窟群は、 1819年にイギリス騎兵隊士官に密林から偶然発見されるまで、 千年以上もの間、人々から忘れ去られていたという。
実際に入って見るのは、資料などで見るより、はるかにすごいものだった。 石窟は、気の遠くなるような時間と労力を費やして作っている。 中には、岩が硬すぎて、未完成になっている石窟も多い。
昔の修行僧はここまでして悟りの境地を得ようとしたのだ。
アジャンター石窟群のみどころは、やはり何といっても、色鮮やかな壁画だ。 中に入ると、薄暗く、ひんやりとする。 なかでも、第1・2・16・17窟はみごとで、
壁画の劣化を防ぐため、特殊な薄青いライトをあてることで、 鑑賞できるようになっていた。
(2008年8月投稿 所 真治さん)